筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)
きんいしゅくせいそくさくこうかしょう
- 遺伝子治療や再生医療の研究をはじめとして世界中でALSの治療法についてさまざまな研究が行われています。近年は人工多能性幹細胞(iPS細胞)をもちいた治療法の開発研究が盛んです。そのなかで、飲み薬や注射薬がいくつか開発されつつあります。最新の臨床試験(治験)に関しては国立保健医療科学院の臨床研究情報検索サイトhttps://rctportal.niph.go.jp/で検索できます。「ALS」あるいは「筋萎縮側索硬化症」というキーワードを入力して検索して下さい。
治療法の研究は行われているのですか?
- 鼻から胃まで管を入れて流動食を入れたり、内視鏡を使った簡単な手術で腹の皮膚の上から胃に管を通して(胃ろう)、流動食を直接胃に入れます。現在は「胃ろう」で栄養補給する方法が一般的です。点滴も必要に応じて行います。
食べれられなくなったときの栄養はどうするのですか?
- 筋肉は全く使わないとそれだけで痩せて弱くなりますし、それにつれて関節拘縮も起こります。適度の運動や関節を動かしてもらうリハビリは効果があります。しかし、過度の運動は、残っている運動神経細胞に負担になる可能性がありますので避けた方が良いと思います。新しい機器を利用した歩行リハビリテーションとしてHAL医療用下肢タイプによる「歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)」が2016年から、筋萎縮性側索硬化症を含む神経・筋8疾患に対して保険適用となっています。現在は導入された医療機関での使用に限られていますが、歩行機能を改善する有効性と安全性が検証されています。
リハビリは効果がありますか?
- 筋萎縮性側索硬化症では、通常排尿の異常は出現しないと考えられています。しかし、報告はまれですが、排尿障害が見られるとの報告があります(服部孝道、ほか:筋萎縮性側索硬化症における排尿障害の研究.臨床神経学 23: 224-227,1983)。服部先生らの研究では筋萎縮性側索硬化症の患者さん30人を詳しく検査したところ、14人に排尿になんらかの問題があり、16人には問題は有りませんでした。排尿症状の内容は、排尿開始に時間がかかったり、排尿に時間がかかる閉塞症状が4人、頻尿や尿意切迫、夜間の頻尿などの刺激症状が6人、両方の症状が見られるのが4人でした。服部先生らは筋萎縮性側索硬化症の罹病期間(病気になってからの時間)が長くなるにつれて排尿障害を有する患者が多くなる可能性があると述べています。問い合わせの患者さんも人工呼吸器装着後3年経っていますので、排尿障害は筋萎縮性側索硬化症に関連した症状の可能性は否定できないと思われます。