原発性硬化性胆管炎(指定難病94)
げんぱつせいこうかせいたんかんえん
- 現在では、MRCPやERCPによる特徴的な胆管変化像と血液検査での胆汁うっ滞所見を基に診断が行われます。以前は1984年にアメリカで提唱されたMayo clinicのグループの肝組織像に基づく診断基準がありましたが、2003年には肝生検による病理診断は除外されました。日本でも診断において肝生検は必須となっていません。しかし、肝生検による病理組織検査により病気の進行度を確実に知ることができますので、血液検査や画像所見では見抜けない病状を評価することに役立ちます。またその他の類似した病気(自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎)を鑑別することもできます。つまり治療の選択を確かなものにするために有用ですので、主治医より勧められる場合があります。ただ、胆管の内圧が高い時には穿刺部から胆汁が漏れることがありますので注意を要します。また、穿刺に伴う出血が起きることもあります。
また、PSCには組織検査を行わないと分からないような微小な胆管が障害され、MRCPやERCPで造影される比較的大きな胆管は障害されないSmall duct type PSCというタイプがあり、小児に多いといわれています。このタイプでは肝生検による診断が必須です。
原発性硬化性胆管炎(PSC)の診断には肝生検が必要でしょうか?
- 確かに健診や別の病気で医療機関を受診した際に偶然発見される場合もあります。無症状のうえに肝機能障害も認めない場合も治療するかどうかは議論があります。胆管障害を呈する類似した疾患に肝内結石症がありますが、ウルソデオキシコール酸投与による胆管癌合併率の低下を示唆する疫学研究結果が報告されています。肝内胆管癌のリスクが危惧されることから積極的な介入を推奨する考えもあります。しかしながらウルソデオキシコール酸投与により、ALP値の改善は見られても、長期予後には影響しないという報告もあります。慢性の進行性の疾患ですので、基本的に治癒することはないですが、進行を遅らせる効果を期待して内服を勧められることがあると思います。強いエビデンスはないので、主治医の先生とよくご相談の上、治療方針を決めて頂ければ幸いです。
原発性硬化性胆管炎(PSC)でも明らかな症状がない場合があるようですが、その場合も治療が必要ですか?