クリオピリン関連周期熱症候群(指定難病106)
クリオピリンかんれんしゅうきねつしょうこうぐん
- 患者さんの症状からクリオピリン関連 周期熱 症候群を疑うところが大切です。特徴的な症状としては、蕁麻疹様の皮膚症状、 無菌性髄膜炎 、膝関節周囲の骨の過形成、乳幼児期発症の 炎症 、難聴があげられます。診断は、遺伝子検査により、NLRP3という遺伝子をしらべ確定します。重症型のCINCA症候群/NOMIDには、NLRP3遺伝子に 変異 はないが、症状・抗IL-1治療に対する 反応性 がNLRP3変異のある患者さんと同じである患者さんの存在が知られております。そのような患者さんの70%の方が、“体細胞モザイク”という普通の遺伝子検査では発見しにくい変異を持っていることがわかりました。これらの方は、体細胞モザイクを含めた遺伝子検査を行う事で診断が可能です。一方、NLRP3変異陰性CINCA症候群/NOMIDの残り30%の方は、未だ原因不明です。このような患者さんは臨床所見からCINCA症候群/NOMIDと診断します。診断基準でも、そのような患者さんがふくまれるように設定されております。
どうやって診断されるのでしょうか?
- 3病型の判断は症状で判断します。その目安は、表に示しました。ただし、この3疾患は連続性があります。どちらとも決められない場合もあります。
治療的な観点からすると、カナキヌマブはいずれの病型でも有効です。
3病型のうち、どれになりますか?
- カナキヌマブのクリオピリン関連周期熱症候群における臨床試験のデータによりますと、風邪等の感染症の増加、重症化が報告されています。カナキヌマブ投与中に発熱等の感染症が疑われる症状がでた場合は、早めに医療機関で診てもらいましょう。その他の有害事象として、回転性めまいが報告されております。幸い、投薬の一時的な中止で回復されています。
カナキヌマブの副作用はどういうものがありますか?
- 小児期にクリオピリン関連周期熱症候群と診断された場合、予防接種が終了していない場合が考えられます。カナキヌマブ治療中なら、Hibワクチン、4種混合(DPT-IPV)ワクチン、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンは問題なく接種することができます。一方、MRワクチン、ムンプスワクチンなどの生ワクチンは、安全性が確認されておらず、現時点では接種はおすすめできません。カナキヌマブ治療中であれば、新型コロナウイルスワクチン(メッセンジャーRNAワクチン)は接種することができます。このワクチンによって強い副反応が起こりやすいというデータはありません。むしろワクチン接種によって新型コロナウイルス感染症を予防する事が大切です。ただし、ワクチン接種によって強い副反応が見られた場合、以後の接種には注意が必要ですので、主治医とよく相談してください。
カナキヌマブ使用中にワクチンはうけられますか?
- 病気の症状からいうと、小児では小児科で免疫、リウマチ、血液、アレルギーを専門にしている先生が診療されています。また成人では、リウマチ膠原病内科、免疫内科、皮膚科、血液内科、総合診療科などの先生が診療されております。ただ、原因遺伝子がみつかってからまだ20年位しかたっていないこと、患者さんの数が少ないことより、専門の先生が少ないのが現状です。クリオピリン関連周期熱症候群は自己 炎症性疾患 という病気の集合体の中のひとつです。自己 炎症性 疾患の専門家とされている先生に相談するのが望ましいと考えます。
専門家が少ないと聞いていますが、誰に相談したらいいでしょうか?
研究班名 | 自己炎症性疾患とその類縁疾患における、移行期医療を含めた診療体制整備、患者登録推進、全国疫学調査に基づく診療ガイドライン構築に関する研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月) |