ベスレムミオパチー(指定難病31)
1.「ベスレムミオパチー」とはどのような病気ですか
徐々に進行する腕や太ももを中心とした筋力の低下や手指、手首、肘、足の関節の屈曲拘縮(曲がった状態で固まってしまう)を特徴とし、Ⅵ型コラーゲン遺伝子の変異が原因でおこる病気です。
2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
北イングランドでは10万人あたり0.77人と報告されていますが、日本での報告は非常に少なく、大部分が未診断のままと考えられています。
3.この病気はどのような人に多いのですか
人によって程度の差はありますが、乳幼児期から手指や肘、足の関節が屈曲拘縮している、運動発達が遅れているなど、何らかの症状を呈している場合が多いです。ただ、より症状がはっきりしてくるのは10-20歳代からです。
4.この病気の原因はわかっているのですか
Ⅵ型コラーゲン遺伝子変異によって起こります。ただ、何故、Ⅵ型コラーゲンに障害があると力が弱くなったり、関節に障害が出たりするのか、詳しいことはよくわかっていません。
5.この病気は遺伝するのですか
基本的には遺伝する病気です。多くの患者さんでは、両親のうちどちらかがベスレムミオパチーの患者さんであり、遺伝子変異を持っています。その遺伝子変異が子供に遺伝することで、子供も発症します( 常染色体顕性遺伝(優性遺伝) )。ただし、遺伝子の突然 変異 や他の遺伝形式で発症する患者さんもいるため、両親がベスレムミオパチーでないからといって、この病気を否定することはできません。
6.この病気ではどのような症状がおきますか
10-20歳代から、腕や太ももなど、体の中心部に近い筋肉により強い筋力の低下、筋肉の萎縮、手指(特に第2-5指)、肘、足関節の屈曲拘縮とそれに伴う運動困難がはっきりしてきて、ゆっくりと進行します。ケロイドを形成しやすいなどの皮膚の問題を示すこともあります。呼吸や心臓の障害は稀です。
7.この病気にはどのような治療法がありますか
残念ながら根本的な治療法はありません。関節が固くなるのを予防し、筋力を保つために、リハビリテーションを行います。足首の関節が固くなって歩きにくくなったような場合には、アキレス腱延長術などの手術を行うこともあります。
8.この病気はどういう経過をたどるのですか
ゆっくりですが歩行障害が進行し、50歳代になると、約半分の患者さんで歩行補助具や車いすが必要となります。人工呼吸器を必要とするような呼吸の障害は稀ですが、かなり進行した例では人工呼吸器が必要になることもあります。
9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
関節の拘縮による運動制限がありますので、転倒などに注意が必要です。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
研究班名 | 希少難治性筋疾患に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和4年12月(名簿更新:令和6年6月) |