重症筋無力症(指定難病11)

じゅうしょうきんむりょくしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

重症筋無力症の全身型と診断された場合、必ず胸腺摘除術を受けなければ完治しないのでしょうか?

腺腫 を合併している場合は、生命予後 に影響を与えるため、胸腺腫摘除術を出来るだけ早く行うことが必要です。胸腺腫を合併していない場合、全身型であってアセチルコリン受容体抗体が陽性の場合は、胸腺摘除術を行った方が症状の改善が良く、服用ステロイド量も減量できることが、3年間ならびに5年間の前向き研究で明らかになりました。胸腺摘除術をしなければ症状が改善しないということではありませんが、長期的な 予後 とステロイド減量効果を考え、主治医と相談することが推奨されています。近年新規治療薬が開発され、ステロイドや血漿浄化療法などの従来の治療方法では改善がみられない難治例に対する治療の選択が広がりました。一方、アセチルコリン受容体抗体が陰性の場合は、胸腺摘除術の有効性は不明です。小児や高齢者に対する有効性に関する前向き研究もありません。MuSK抗体陽性の場合は、むしろ効果がないとされています。

胸腺摘除術に関する国際研究で行われた胸腺摘除術は拡大胸腺摘除術(胸部を真ん中から開ける開胸手術)だと聞きました。胸に傷跡が残るのは嫌なので、内視鏡的な手術を受けたいのですが、それでも治療効果はあるのでしょうか。

内視鏡的手術は様々な病気で行われるようになり、外科手術の技術も向上しています。重症筋無力症の胸腺摘除術に関して、内視鏡手術と拡大胸腺摘除術を比較した前向き研究はありませんが、後向き研究の結果からは、拡大胸腺摘除術とほぼ同等の効果があると考えられています。その適応については、「病気の解説(一般利用者向け)」をご確認ください。


情報提供者
研究班名神経免疫疾患領域における難病の医療水準と患者のQOL向上に資する研究班
研究班名簿 
情報更新日令和6年10月(名簿更新:令和6年6月)