那須・ハコラ病(指定難病174)

なすはこらびょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

那須・ハコラ病は遺伝性疾患であると聞きましたが、子供に遺伝しないかと大変心配です。

那須・ハコラ病は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)(じょうせんしょくたいせんせいいでん(れっせいいでん))と呼ばれる遺伝形式を示します。患者さんのご両親や子供は通常発病しませんが、ご兄弟に同じ病気が見られることがあります。

那須・ハコラ病では、どうして骨折しやすいのでしょうか?

骨の組織は必要に応じて骨芽細胞(こつがさいぼう)により作られ、破骨細胞(はこつさいぼう)により吸収されて、伸長のバランスが保たれています。那須・ハコラ病では、破骨細胞で重要な機能を果たしているDAP12(TYROBP)遺伝子またはTREM2遺伝子の変異(へんい)が見られます。そのため正常な骨形成過程が妨げられ、骨梁(こつりょう)が薄くなった骨嚢胞(こつのうほう)が出来てしまいます。骨嚢胞は腫瘍ではありませんが、上腕骨や大腿骨など長幹骨(ちょうかんこつ)の骨端部に出現し、軽微な外傷でも骨折することがあります。

那須・ハコラ病が疑われる場合、どの診療科を受診すればよいのでしょうか?

骨折は整形外科、精神症状は精神科、てんかん発作や認知症は神経内科を受診してください。日本では那須・ハコラ病の患者数は、約200人と非常に少数なため、専門医でも正確な診断が難しい場合があります。

那須・ハコラ病では、有効な治療薬はありますか?

現在、病気自体を改善し進行を抑える有効な治療薬はありません。骨折に対しては整形外科的治療、精神症状に対する抗精神病薬の投与やてんかん発作に対しては抗てんかん薬を使用する等の対症療法が行われます。

遺伝子学的検査の手順はどのように行うのでしょうか

遺伝学的検査により生じる様々な事柄について説明し、患者さんやご家族から同意をいただける場合に遺伝学的検査を行います。血液中の白血球に含まれるDNAを用いて遺伝学的検査を行いますので、通常の採血により血液を採取します。一定の基準を満たす医療機関においては、この遺伝学的検査は保険診療により実施することが可能になりました。

 

情報提供者
研究班名 成人発症白質脳症の実態調査とレジストリ作成の研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和6年6月)