オスラー病(指定難病227)
おすらーびょう
- オスラー病の診療を行なっている病院にいき、診察をしてもらうのがよいと思います。日本全国のオスラー病を診療可能な病院の情報*があります。オスラー病は、反復する鼻出血、皮膚粘膜の末梢血管拡張、内臓病変(動静脈奇形:AVM)、1親等の血縁者の4項目のうち3つ以上があることで確診、2つで疑診とされます。ただし、子供の場合には症状がでるのに時間がかかる場合もあるので注意が必要です。現在、オスラー病の遺伝子検査も可能となっていますので、病院で相談してみてください。
オスラー病と診断された場合には、肺と脳に血管の異常がないかどうかの検査が薦められます。通常、肺AVMにはCT検査、脳AVMにはMRI検査が行なわれます。CT検査ではX線が使用されますので、放射線の被曝が心配な場合は医師に相談して下さい。
*オスラー病の診療が可能な病院リスト
http://komiyama.me/HHT_JAPAN/HP_lists.html
子供がオスラー病かどうか心配です。
- 脚の付け根に局所麻酔をして、シースを大腿静脈に入れます。その中にバルーン付きの2~3mm径のガイディングカテーテル(親カテ)を入れ、その中に1~2mm径のカテーテル(子カテ)を入れます(場合によってはその中にさらに0.5~1mm径のカテーテル(孫カテ)を入れることもあります)。これらのカテーテルを、ガイドワイヤ(細い針金のようなもの)を用いながら、病変のある葉~区域肺動脈まで挿入します。肺動脈造影をおこない、肺動静脈瘻の位置や形状、大きさを確認し、コイル留置部位を決めます。その上で瘻の大きさや形に合わせて約10~40本のコイルを肺動静脈瘻の流入血管や瘻内に、もしくはバスキュラープラグ(血管を閉塞する器具)を肺動静脈瘻の流入血管に留置します。
使用するコイルは、プラチナ製の金属ですが、柔らかく絹糸のようなコイルから、かたいものまであります。しっかりと閉塞するためにコイルに膨潤物質やナイロン線維がついたものもあります。
合併症としては、ごくまれですが、コイルが瘻をすり抜けて肺静脈側に飛んで行く可能性があります。肺静脈は、左心室、大動脈につながっているので、ここから脳も含めて、全身にコイルが飛んで行く可能性があります。その他に、喀血や脳梗塞、胸膜炎、感染症などがおきることがあります。また造影剤を使用するため、造影剤に対するアレルギー反応が起きることがあります。
カテーテル治療(経カテーテル肺動静脈瘻塞栓術)とは、どのような治療でしょうか?
- オスラー患者の妊娠の際に、特に問題となるのは、肺動静脈奇形(PAVM)が合併しているかどうかです。PAVMの合併症としては、右-左シャント(バイパス)による低酸素血症、PAVMの破裂による喀血・血胸、中枢神経系の塞栓症、膿瘍などがあります。また、妊娠中のPAVMの増大も報告されており、増大は妊娠第2~3期(4~5カ月)に多くみられ、それに伴い合併症の生じる危険性も高くなります。
こうしたことから、オスラー病の女性では、妊娠前にPAVMの有無および程度について精査を行うべきであるとされております。もし、PAVMが合併していた場合には、妊娠前にPAVMの治療をしておくことが推奨されています。