中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群(指定難病134)
1. 「中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群」とはどのような病気ですか
中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群は、眼の神経が生まれつき萎縮していて視力低下、いくつかのホルモンが十分に作れないためホルモン分泌不全症状(例えば成長ホルモン分泌不全だと低身長)がある疾患です。画像検査では脳の真ん中の構造である透明中隔や脳梁という部分が欠けていることがあります。
これらの特徴がすべて揃うものが典型例ですが、典型例は全体の30%程度であり、すべて揃わないことの方が多いです。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
日本における正確な患者数は不明ですが、論文や学会等でこれまでに135名が報告されています。海外のデータで出生数1万人に対し1人という報告があります。
3. この病気はどのような人に多いのですか
生まれつきの疾患なので中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群になりやすい体質というようなものはありません。
4. この病気の原因はわかっているのですか
若年出産や、母体の喫煙・飲酒・薬物摂取といった環境因子の影響が推測されています。
HESX1、SOX2などの遺伝子変異が報告されていますが、多くは原因不明です。
5. この病気は遺伝するのですか
家族例の報告もあり、遺伝子変異も報告されていますが、多くは原因不明の孤発例(遺伝性が明らかでないもの)であり、遺伝子変異も両親には認められないので、遺伝性は小さいと考えられます。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
視力が低く、眼振(目が揺れたり動いたりする症状)などもみられることがあります。また、様々なホルモン分泌不全症状、具体的には低身長や低血糖、徐脈、多尿などの症状があらわれることもあります。また軽度から重度まで様々な程度の知的障害や運動発達の遅れがあり、てんかん発作を起こすこともあります。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
疾患の根本的な治療法はありませんが、低身長などのホルモン分泌不全症状は、その足りない副腎皮質ステロイド(ステロイド)を補充することによって軽快します。てんかんを合併した場合は、抗てんかん薬による治療を行います。また、発達遅滞の程度に応じて療育やリハビリテーションを行う場合もあります。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
目の症状や発達の遅れで気付かれることが多く、ホルモン分泌不全症状は思春期以降に出現することがあります。発達、特に運動発達に関しては運動リハビリテーションなどで促進できることがあります。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
ホルモン分泌不全がありステロイドを補充している人は、感染症にかかったり、熱を出したり、手術など大きいストレスがかかるような状況の時は、補充しているステロイドの増量が必要です。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
中隔視神経異形成症
研究班名 | 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月) |