自己免疫性肝炎(指定難病95)
じこめんえきせいかんえん
(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)
肝機能が安定すれば内服薬は中止できますか
- 原則的に長期に継続する必要があります。副腎皮質ステロイド治療によって肝機能検査値が基準値内にあっても肝内では炎症が残っていることがあります。このため、副腎皮質ステロイド治療の中止により肝機能検査値の急激な悪化がみられることがあります。治療を中断する際には肝生検の所見で肝細胞が壊れていないことやそれに反応して白血球(炎症細胞)がみられないことなどを調べるとともに、中止後には厳重にしかも長く経過をみることが必要です。
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自己免疫性肝炎の合併症にはどのようなものがありますか
- 自己免疫性肝炎の約1/3の患者さんに他の自己免疫疾患が合併することがあります。合併頻度の高い疾患としては、慢性甲状腺炎(9%程度)、シェーグレン症候群(7%程度)、関節リウマチ(3%程度)があります。また、原発性胆汁性肝硬変を合併することもありますが、実際の頻度は低いと考えられています。
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肝硬変の場合、注意することを教えてください
- 肝臓の機能が低下している患者さんでは、血中アンモニア値が上昇して手の震えや意識障害(肝性脳症)を起こすことがあります。そのため、豚肉や牛肉など高たん白食を多量に摂ることを避けましょう。また、便秘は血中アンモニア値を上昇させるため、便通にも注意を払いましょう。さらに、腹水や浮腫のある患者さんでは、塩分を制限することが大切です。
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ステロイド内服中の予防接種はできますか
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副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬による治療中は、生ワクチン(BCG、経口生ポリオ、麻疹風疹混合、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、黄熱)については禁忌とされており、接種を受けることができません。不活化ワクチン(A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、破傷風、インフルエンザ菌B型、肺炎球菌、ヒトパピローマウイルス)、mRNAワクチン(新型コロナウイルス感染症)については、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を内服中というだけでは禁忌になっていませんので担当の医師に相談してください。インフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンについては、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬の内服中でも効果があるとの報告があります。
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漢方薬やサプリメントは服用しても大丈夫でしょうか
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自己免疫性肝炎にかかわらず、これらの薬剤やサプリメントが原因で肝臓を悪くすることがあります。また、他の服用薬との相互作用がある場合もありますので、服用を開始する際には、担当の医師に相談することが必要です。
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どの程度の運動は可能ですか
- 適度な運動が肝機能を悪化させることはなく、良い効果が期待できます。運動の強さとしては、運動中息切れしないで楽である(汗が出るかでないか)と感じ、次の日に疲れが残らない程度の運動が効果的であると言われています。その日の体調や病気の進行度によっては、運動を控えた方が良い場合があります。
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