1p36欠失症候群(指定難病197)

いちぴー36けっしつしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「1p36欠失症候群」とはどのような病気ですか

精神運動発達の遅れや筋緊張低下、てんかんなどの神経症状に加え、特徴的な顔立ちや、 先天性 心疾患などの合併症を示す染色体異常症候群の1つです。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

海外では1万人に1人程度と報告されていますが、日本における調査では2万5千人から4万人に1人の頻度と考えられ、年間10~20人程度の患者さんの出生があると推測されます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

人種差や生活習慣とは無関係です。男の子より女の子の方が多く、男の子が3割、女の子が7割の比率で認められます。

4. この病気の原因はわかっているのですか

1番染色体短腕の末端(1p36;いちぴーさんろく)領域の欠失が原因です。

5. この病気は遺伝するのですか

ほとんどの患者さんは突然 変異 で生じた染色体異常が原因です。ただ、不均衡型転座による1p36欠失を示す患者さんの一部は、均衡型転座 保因者 である親から受け継いでいます。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

精神運動発達遅滞はほとんどの患者さんで認められますが、ごく軽度な場合から、重度の場合まで様々です。てんかんや先天性心疾患、甲状腺機能障害、肥満、耳鼻科疾患、口腔外科疾患などは合併する場合もしない場合もあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

根本的な治療法はありません。各症状に対して一般的な対症療法を行います。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

精神運動発達は遅れながらも伸びていきます。構音障害を示しながらも会話が可能になる場合もあれば、自力歩行ができない場合もあり、経過は様々です。染色体欠失の大きさや、合併症の程度にも影響されます。特に精神発達の 予後 はてんかん発作の予後と関係します。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

自力歩行ができ、日常生活も比較的自立している患者さんの場合、過食から肥満になることがあるので注意が必要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

11. この病気に関する資料・関連リンク

 

情報提供者
研究班名 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班
研究班名簿 
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月)