弾性線維性仮性黄色腫(指定難病166)
1. 「弾性線維性仮性黄色腫」とはどのような病気ですか
弾性線維性仮性黄色腫(PXE: Pseudoxanthoma Elasticum)とは、弾性線維が 変性 するため主に皮膚・眼・血管の障害が出る病気です。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
現在約300人の患者さんが確認されています。全国にはまだ診断されていない患者さんがいると思われ、さらに増えることが予想されます。
3. この病気はどのような人に多いのですか
2本の遺伝子の両方に 変異 をもつ人に発症します。
4. この病気の原因はわかっているのですか
この病気の患者さんには、細胞膜で物質を運搬するMRP6というタンパク質を作るABCC6という遺伝子に変異があることがわかっています。この遺伝子の変異で、弾性線維が切れたり石灰化が起こることで症状が出ます。
5. この病気は遺伝するのですか
潜性遺伝(劣性遺伝)形式で遺伝します。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
皮膚では首や腋や鼠径部の弾性が失われ、始めは黄色の 丘疹 ができ、次第にたれ下がったようになります。目では ブルッフ膜 に亀裂が入り、時に出血し、視力低下・視野欠損が起きます。血管障害は 虚血 を引き起こし、心筋 梗塞 や脳梗塞などをおこします。消化管出血を起こすこともあります。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
現在のところ有効な治療法は存在しませんが、複数の研究室で遺伝子治療の基礎研究が始まっています。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
個人差が大きいですが、症状は徐々に進行します。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
まず診断をつけることです。その際に目や血管に症状があれば、専門機関を定期的に受診し、 重篤 な障害を早期発見することが大切です。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
11. この病気に関する資料・関連リンク
1. 長崎大学皮膚科ホームページ
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/dermtlgy/
2. 宇谷厚志: 弾性線維性仮性黄色腫の現況と展望. 日本臨床, 72: 2073-2077, 2014.
3. Uitto J, Váradi A, Bercovitch L, Terry PF, Terry SF.: Pseudoxanthoma elasticum: progress in research toward treatment: summary of the 2012 PXE international research meeting. J Invest Dermatol, 133: 1444-1449, 2013.
4. Bercovitch L1, Leroux T, Terry S, Weinstock MA: Pregnancy and obstetrical outcomes in pseudoxanthoma elasticum. Br J Dermatol, 151: 1011-1018, 2004.
5. Xiromeritis P, Valembois B: Pseudoxanthoma elasticum and pregnancy. Arch Gynecol Obstet, 273: 253-4, 2006
用語解説
弾性線維(だんせいせんい):皮膚や血管の弾力性を生み出す線維のことです。