タンジール病(指定難病261)

たんじーるびょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

タンジール病に対する治療法はあるのですか?

今のところタンジール病そのものに対する治療法は完成していません。また、遺伝子治療などの先進医療もまだありません。この病気で問題なのはコレステロール沈着により引き起こされる狭心症・心筋梗塞・脳梗塞でありその発生を予防する必要があり、さらにすでに起こってしまった場合には再発させないように動脈硬化性疾患に対する定期的な検査と通院治療が必要です。内服薬による治療に加え、合併する脂質異常や糖尿病、高血圧に対する生活習慣の改善も必要です。喫煙者では禁煙も必要になります。

親がタンジール病の場合は子供もタンジール病になってしまうのですか?

タンジール病は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)で遺伝するために、親がタンジール病あるいは保因者(タンジール病の症状はないがそれぞれの親から1つずつもらう遺伝子のうち1つが病気を起こす遺伝子になっている)の場合には子供にタンジール病を起こす場合があります。子供にタンジール病を起こす可能性は両親ともにタンジール病の場合は100%、片方がタンジール病でもう片方が保因者の場合は50%、両方とも保因者の場合は25%の確率です。

タンジール病を発見するための検査にはどのようなものがありますか?またどこに行けばその検査が可能ですか?

タンジール病は細胞の表面にあるABCA1というタンパク質を産生する遺伝子に変異が出ることで、コレステロールが動脈壁を始め様々な組織に溜まる病気です。このため、血中のHDLコレステロール濃度はほとんど0になります。HDLコレステロール濃度の測定はほとんどの医療機関で採血により可能です。もしHDLコレステロールが極めて低い場合にはタンジール病が疑われますが、これを診断するためには専門医による診察と原因を調べるための遺伝子検査が必要です。この遺伝子検査は大学病院などの研究機関で特に脂質異常症を専門にする研究室での検査になり、一般の医療機関では不可能であり、専門病院への紹介が必要になります。タンジール病と診断された場合には様々な症状の有無について画像検査(CT検査、冠動脈造影検査)や耳鼻科診察、末梢神経障害の検査などが必要となります。

タンジール病の場合日常生活への影響は?学校生活や就職は可能ですか?

タンジール病においてコレステロール沈着により引き起こされる狭心症・心筋梗塞・脳梗塞が起こっているのか否か、またその重症度により大きく変化します。また、末梢神経障害や角膜混濁など、そのほかにも日常生活に影響を与える症状もあります。ただ、タンジール病の患者さんそれぞれにおいて症状は様々であり、これらの合併症が見られない方の場合は日常生活に影響はありませんが、脳梗塞・心筋梗塞など重症の動脈硬化をきたした場合には日常生活が大きく制限される可能性があり、どの程度生活への影響があるかについては一概には言えません。

 

情報提供者
研究班名 原発性脂質異常症に関する調査研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月)