α1-アンチトリプシン欠乏症(指定難病231)
あるふぁー1あんちとりぷしんけつぼうしょう
- 主に肝臓で生成される分子量52,000、394個のアミノ酸からなる糖蛋白で、タンパク質分解酵素を阻害する作用をもちます。
α1-アンチトリプシン(AAT)とは何ですか?
- AATが減少すると、タンパク質分解酵素の働きが優位になり、エラスターゼを主としたタンパク質分解酵素により肺胞を構成する主要な結合組織であるエラスチンが破壊されて、肺気腫病変の形成に至りうると考えられています。したがって、AATDの患者さんでは通常より喫煙によって肺の破壊(肺気腫)が起こりやすいことになります。
なぜ肺気腫をきたすのですか?
- 肺気腫が進行すると、空気中の酸素を血中に取り込む役割をしている肺胞が破壊されることや、空気の通り道である気管支の狭窄によって息を勢いよく吐けなくなることなどから労作時の呼吸困難をきたすことになります。
なぜ労作時呼吸困難をきたすのですか?
- 皮下脂肪層に炎症が起こった状態ですが、典型的には皮膚が点状~斑状に赤くなり、やや盛り上がった皮疹になります。痛みを伴い希な合併症とされていますが、太もも、お尻、傷を負った部位、荷重のかかる部分などに生じやすいとされています。肺気腫の起こるメカニズムと同様に、皮下組織中でAATが欠乏しているため、炎症により放出される蛋白分解酵素の働きが過剰になるためと考えられています。
なぜ皮下脂肪織炎を発症するのですか?
- 肺気腫の進行を抑制する効果、死亡率を低下する効果、が報告されています。一方、慢性閉塞性肺疾患の気流閉塞の指標として用いられる1秒量については、低下を改善するという報告もあれば、改善しないとする報告もあり、今後も引き続き検討すべき重要な課題となっています。
AAT補充療法にはどのような効果が期待できるのですか?