マリネスコ・シェーグレン症候群(指定難病112)
1. 「マリネスコ・シェーグレン症候群 (MSS) 」とはどのような病気ですか
マリネスコ・シェーグレン症候群(MSS)とは、発育・発達が遅れる、からだのバランスがうまくとれない、筋肉の力が弱い、知的障害、白内障、などの症状を乳幼児期から示す病気です。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
この病気は非常に希で、現在日本に居る患者さんは100人未満であると推定されています。
3. この病気はどのような人に多いのですか
男女差や人種差はありません。この病気は、お子さんが小さいときに発見されることが多い病気です。
4. この病気の原因はわかっているのですか
第5番染色体に存在するSIL1という遺伝子に変化が生じることによって起こる病気であることがわかっています。まれにSIL1遺伝子に変化の認められない方もいます。
5. この病気は遺伝するのですか
遺伝子の変異による病気で、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の遺伝形式をとります。すなわち父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子の両方に変異がある場合に発症する疾患です。父親、あるいは母親由来の遺伝子のどちらかにしか変異が見つからなくても、突然発症する場合があります。常染色体潜性(劣性)の遺伝形式をとる疾患では、片一方の遺伝子にしか変異がない人(保因者またはキャリアーと呼びます)は、全く健常です。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
乳幼児期に身体がやわらかい、首のすわりやお座りが遅れる、言葉の発達が遅い、など発達の遅れで気がつかれます。約1/3の患者さんは歩けるようになります。学齢期前に突然、両側の白内障が現れ、急速に進行しますが、他の症状はゆっくり進行するか、あるいはほとんど変化のない状態で成人に達します。
低身長、背骨や手足の骨の変形、斜視、性腺機能の低下が見られることがあります。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
白内障は急速に進行し、放置すると視力障害が進行するため、発症早期に手術をする必要があります。
発育・発達の遅れに対しては、必要に応じてリハビリテーションを行ったり、特別支援学級での教育が行われたりします。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
白内障は学齢期前に急速に出現・進行しますが、身体のバランスの悪さや筋力の低下はゆっくりと進行するか、ほとんど進行しない状態で成人に達することが多いです。この病気は、心臓や呼吸の問題を認めることはほとんどありません。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
学齢期前に発症する白内障に対して、早期に発見し、適切な治療を行う事が必要です。また、身体のバランスが悪い、筋力が弱いなどのことから、転倒などに注意する必要があります。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
研究班名 | 希少難治性筋疾患に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年11月(名簿更新:令和6年6月) |