4p欠失症候群(指定難病198)
1. 「4p欠失症候群(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)」とはどのような病気ですか
4番染色体短腕の欠失に基づき、顔貌上の特徴、成長障害、精神運動発達遅滞・知的障害を呈する症候群です。1961年、クーパー先生とヒルシュホーン先生により初めて報告されました。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
1/50,000人程度と推定されています(女児:男児=2:1)。しかし、欠失が小さい患者さんは見逃されている可能性があり、実際はもっと多いと可能性があります。
3. この病気はどのような人に多いのですか
過半数は突然 変異 により発症するので、どの家族に生まれる可能性もあります。不均衡型相互転座の結果として発症することもあり、この場合、お父様かお母様が均衡型相互転座を持っている可能性があります。
4. この病気の原因はわかっているのですか
4番染色体短腕末端の様々な領域の欠失が原因です。過半数は突然変異による単純な欠失です。不均衡型相互転座の結果として発症することもあり、この場合には他染色体部位の重複を伴います。
5. この病気は遺伝するのですか
突然変異による単純な欠失の場合、不均衡型相互転座の結果として生じるけれどご両親が正常染色体パターンの場合、次子が同じく発症する確率は低いです。
お父様かお母様のどちらかが均衡型相互転座を持っている場合、次子が同じく発症する確率は上がります(流産する可能性もあり、数〜十数%程度と推定されます)。心配がある場合は、臨床遺伝専門医のもとで遺伝カウンセリングを受け、お子さんの核型情報から両親の染色体検査を行う必要があるかどうかも含め、ご相談下さい。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
お顔立ちの特徴、子宮内に始まる成長障害、筋緊張低下、様々な程度の精神運動発達遅滞・知的障害は全ての患者さんに見られます。他、けいれんは90〜100%に、骨格異常は60〜70%に、 先天性 心疾患は〜50%に、聴覚障害(主に伝音性)は>40%に、尿路奇形は25%に、脳構造異常は33%に見られます。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
起きやすい症状に対する早期検診および適切な治療(抗てんかん薬、経管栄養、眼科・耳鼻科・循環器科・整形外科検診など)、また発達の遅れに対する療育的支援(理学療法、作業療法、言語療法、摂食指導)を行っていきます。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
患者さんの健康状態は合併症の内容と治療状況によります。発達の遅れの程度も様々です。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
患者さんの合併症の内容と治療状況によります。心不全を伴う先天性心疾患があったり、難治性てんかんがある場合には、担当医から日常生活上の制限や確実な内服を指示されるでしょう。感染しやすい場合、予防接種を確実に行うこと、症状が重くなる前にかかりつけ医療機関に受診すること、といった工夫が必要なこともあります。発達面では、病院での定期的療育的支援に加えて、療育施設への通園などを通じて、楽しい刺激を受けたり、社会性を身につけたりすることもよいでしょう。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
11. この病気に関する資料・関連リンク
フォーシーズン
https://four-season-whs-kids.jimdo.com/
4p- SUPPORT GROUP
http://4p-supportgroup.org/
GeneReviews
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1183/
GeneReviewsJapan
http://grj.umin.jp/grj/whs.htm
研究班名 | 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月) |