ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症(指定難病258)

がらくとーす1りんさんうりじるとらんすふぇらーぜけっそんしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症」とはどのような病気ですか

ミルクや乳製品に含まれている乳糖は体内で分解されてブドウ糖とガラクトースになりますが、このガラクトースはガラクトース-1-リン酸からグルコース-1-リン酸へと代謝されます。ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症では、このガラクトース-1-リン酸からグルコース-1-リン酸への代謝が先天的に障害されていることで発生します。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

この病気の発生頻度は約90万人出生で1人とされていますので、全国で100~200人程度と思われます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

この病気の危険因子などは報告されていません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

遺伝性疾患です。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) 形式を示す遺伝疾患です。ご両親が保因者(因子は持っているが発症していない人)の場合、1/4の確率で病気を持った児が生まれることになります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

新生児早期から、哺乳開始後、不機嫌、食欲不振、下痢、嘔吐などの消化器症状、体重増加不良、採血後の止血困難などがみられ、低血糖、尿細管障害、白内障、肝障害( 黄疸 、肝脾腫、肝逸脱 酵素 上昇など)をきたし、 凝固系 異常、 溶血 性貧血の所見を示すこともあります。ガラクトース高値が大腸菌発育を促進するため 敗血症 、髄膜炎などの感染症を併発することが多く、乳糖除去を行わなければ致死的疾患です。
新生児期からの治療にもかかわらず、発達障害や筋緊張低下、振戦、拮抗運動反復不全、失調性歩行などの神経症状を呈する症例が報告されており、また女児では80~90%で卵巣機能不全が認められるとも報告されています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

食事療法による乳糖除去によりガラクトース、ガラクトース-1-リン酸の上昇を抑えることが生涯にわたって必要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

乳糖除去によって新生児期の症状は改善しますが、早期診断され治療開始されても慢性期に合併症を認めることがあり注意が必要です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

乳糖制限が生涯にわたって必要なので、注意深い食事療法を継続する必要があります。また白内障や神経症状、女児では卵巣機能の確認などが必要ですので、定期的な通院管理が必要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

・GALT欠損症
・ガラクトース血症I型

11. この病気に関する資料・関連リンク

日本先天代謝異常学会ホームページ
https://jsimd.net/

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月)