グルタル酸血症1型(指定難病249)
ぐるたるさんけっしょう1がた
- 1997年から2012年におけるパイロットスタディの期間で7人の患者が発見されていますが、いずれも治療により正常の発育・発達が得られています。今後、長期間の予後については明らかになるものと思われます。
タンデムマスによる新生児マススクリーニングで発見された患者の予後は?
- 6歳以降も食事療法が有効かどうかについては、海外の文献を見てもはっきりと評価されていません。しかし、海外の研究では6歳以降も頭部MRI画像の変化がすすんでいくとされ、現在では生涯続けていく方がよいと考えられています。
食事療法はいつまで続けるのか?
- 治療を行ってもグルタル酸や3-ヒドロキシグルタル酸、グルタリルカルニチンの値は正常化しません。これらの排泄を減少させようとタンパク制限を強めることは、必須アミノ酸であるリジンやトリプトファン不足による神経症状を引き起こします。治療による排泄の推移や異化亢進の有無、遊離カルニチンの値などの定期的なチェックは必要ですが、排泄量のみで治療変更の判断にはなりません。
尿中有機酸分析や血中アシルカルニチン分析は、治療の目安となるか。
- 発熱は増悪因子と考えられますので、積極的な使用が勧められます。アセトアミノフェンやイブプロフェンであれば、海外のガイドラインでも6~8時間ごとに使用すると記載されています。
解熱剤は使用した方がいいのか?
- ポリオワクチンなどの予防接種を契機に発症した患者の報告は確かにあります。しかし、これはすでに異常代謝産物の蓄積が進んでいる状態であり、発症しやすい状況だったといえます。予防接種を受けずに罹患すれば、強い異化亢進にさらされ発症の危険性はより高まると考えられます。マススクリーニングで診断され、治療・管理を受けていれば、予防接種は勧めたほうがよいでしょう。
ただし、副反応などで発熱した場合などの対応をきちんと家族に伝え、急性期管理の準備をしておくことが必要です。
予防接種が契機で発症することがあると記載されているが、予防接種を勧めない方がいいのか。
- 胃瘻造設によって食事療法の管理がしやすくなる場合があります。また経口で誤嚥しやすい患者では発熱の回数を減らし、症状の進行を抑制する可能性もあります。状態を安定させると考えられれば行ってよいでしょう。