強直性脊椎炎(指定難病271)

きょうちょくせいせきついえん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

強直性脊椎炎による痛みについて教えてください。

からだを支える骨盤や背骨などの関節に炎症が起こり、痛みとともに関節の障害が少しずつ進行する病気です。炎症が起こった場所には痛みやこわばり感が生じます。病気は骨盤の骨の一つである仙骨と腸骨の間にある仙腸関節からはじまり、その後、腰の骨からしだいに上の方(首の骨)に向かって広がっていきます。この痛みは安静により改善せず、運動により軽くなる特徴があります。しばしば、痛みのため夜間に目を覚ましたり、朝起きた直後に症状が悪化したりします。炎症はアキレス腱、足の裏などの腱が骨につく部位(腱付着部)にも起こります。また、股関節、膝関節、肩などの大きな関節にも炎症を起こします。若く発病する患者さんでは股関節の炎症からはじまる方もいます。

遺伝する病気ですか?

強直性脊椎炎はいわゆる遺伝病ではありません。1970年代から強直性脊椎炎はHLA-B27を保有している人で発症しやすいことが知られています。親がHLA-B27を保有していた場合、HLA-B27を子が引き継ぐ可能性はありますが、子がHLA-B27を引き継いでも、この病気を発症する割合は10%未満で、90%以上の人は発症しません。

どのような検査を行いますか?

強直性脊椎炎の病気を診断し、また病気の勢い(疾患活動性)を単独で評価できる検査はありません。患者さんの痛みの程度や、関節の曲げ伸ばしの動きの状態、画像検査(X線検査、MRI検査)でわかる関節の障害に、血液検査でわかる炎症の程度を組み合わせることにより、病気の診断や活動性を総合的に評価します。また、薬剤による治療を行っている場合には、副作用チェックのため、定期的な血液検査等が必要となります。

関節以外の症状は?

ぶどう膜炎(眼)、不整脈などの心血管障害、尿路結石、腸の炎症、乾癬(皮膚)、など、関節以外に全身の臓器にも病気が起こることがあります。

骨粗しょう症や骨折が起こりやすいと聞きましたが本当ですか?

骨粗しょう症は最も多い合併症の1つです。骨粗しょう症による背骨の骨折の発生率は、強直性脊椎炎の患者では一般の人の2倍以上といわれています。また、一生の間に背骨に骨折を起こすのは、患者全体の5〜15%程度といわれています。

生物学的製剤はどのような場合に使いますか?

脊椎の強直が進みやすい要素として、喫煙者、血液検査で炎症の値が高い、すでに脊椎の強直が画像でみられる、MRI検査で炎症がみられる、HLA-B27陽性などが知られています。これらの要素があり、NSAIDsの内服をしても症状が強い方では、生物学的製剤の投与を検討した方がよいでしょう。また、最近ではJAK阻害薬という内服薬もこの病気に承認され、生物学的製剤投与でも効果不十分であれば選択肢となります。

情報提供者
研究班名 強直性脊椎炎に代表される脊椎関節炎及び類縁疾患の医療水準ならびに患者QOL向上に資する大規模多施設研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和6年6月)