5p欠失症候群(指定難病199)
1. 「5p欠失症候群」とはどのような病気ですか
全般的な発達の遅れ、筋緊張の低下、成長障害、顔貌の特徴など共通する症状を持つ、染色体異常症候群の1つです。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
15,000~50,000人に1人と推定されています。
3.この病気はどのような人に多いのですか
人種の差や性別の差は特にありません。
4.この病気の原因はわかっているのですか
5番染色体短腕の部分的な欠失が原因です。
5. この病気は遺伝するのですか
ほとんどの患者さんは突然 変異 による染色体異常が原因です。ただし、不均衡型転座が原因である場合は親御さんが均衡型転座 保因者 であることもあります。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
出生後の成長障害、運動発達の遅れは、ほとんどの患者さんで見られます。その他に哺乳の弱さや便秘、側彎、筋緊張の弱さを認めます。呼吸器、循環器、消化器、泌尿生殖器、整形外科、歯科の症状を持つこともありますが、患者さんによっては合併しない場合もあります。また、中耳炎を繰り返しやすく聞こえの症状を持つ場合、近視や眼振など眼の症状を持つこともありますが、いずれも定期的な検診で早期に発見し、治療が可能です。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
根本的な原因をなくすことはできませんが、上記のような合併症を持つ場合は循環器科、泌尿器科、整形外科、眼科、耳鼻科などの関連する診療科で、定期的な検査や一般的な内科、外科治療を行います。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
患者さんごとに、持っていらっしゃる症状や重症度に個人差があるため、様々な経過をたどりますが、一般的に生後すぐには呼吸器や感染の症状などに気を付けることは大切です。乳児期を過ぎると、平均して3歳ごろから独り歩きがはじまります。始語は平均すると2歳半頃に見られます。この症候群の生命的な 予後 は現在の治療法の進歩により改善しています。生命にかかわる主要な合併症がなければ、 生命予後 は一般的に良好であり、 海外の報告では60代の方がいらっしゃいます。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
食事を口から取ることが苦手な患者さんもいらっしゃいます。そのような場合、医療機関で摂食や 嚥下 の評価を行い、その方にあった食事摂取の方法や、リハビリ指導が必要になってきます。
運動や言葉の発達には患者さんによってそれぞれ幅がありますので、お子さんの発達に応じてリハビリ療法支援が効果的であるとされます。また耳の状態(難聴や中耳炎)や眼の状態(近視、乱視や白内障)によっては、それらの医療的サポートすることで周りからの刺激や情報を適切に受け取りやすくなるでしょう。多くの方はお話しする(表出言語)よりもお話を理解する(受信言語)方が長けており、ジェスチャーサインによってコミュニケーション手段を増やしていく方がいらっしゃいます。多くの方で発達の遅れは認めますが、日常的な支援を常時必要とされる方から、学童期に食事や着替えなどの日常動作を修得される方も多いとされます。また、行動面で多動や衝動性、過敏性やこだわりといった行動障害を認めるとされますが、養育、療育支援や特別支援教育による学習や経験により様々な技能を修得可能とされております。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
研究班名 | 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月) |