遅発性内リンパ水腫(指定難病305)
1. 「遅発性内リンパ水腫」とはどのような病気ですか
遅発性内リンパ水腫とは、突発性または発症時期がわからない高度の難聴が先に発症し、その数年から数十年の後にぐるぐる回るめまい(回転性めまい)を繰り返す病気です。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
厚生労働省の前庭機能異常調査研究班によって行われた調査では、日本における遅発性内リンパ水腫の患者数は4,000~5,000人と考えられます。
3. この病気はどのような人に多いのですか
調査研究班の実施した疫学調査によると、遅発性内リンパ水腫を発症した患者さんの約半数が9歳以下に高度難聴を発症していました。また、先行する高度難聴の原因としては、原因不明の場合が多く次いで突発性難聴やムンプス難聴の頻度が高いことが明らかになりました。従って、子供の頃から片方の耳が全く聞こえない人、ウイルス感染による内耳炎や突発性難聴になった人に多いと考えられます。
4. この病気の原因はわかっているのですか
原因は分かっていません。以前に発症した難聴が、長い年月を経て内耳に内リンパ水腫を引き起こして発症すると考えられています。
5. この病気は遺伝するのですか
遅発性内リンパ水腫は遺伝性の病気とは考えられていません。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
片側または両側の耳に高度難聴が発症し、その数年から数十年の後にバランス感覚を担う器官である前庭に内リンパ水腫が生じ、その結果回転性めまいを繰り返すと考えられています。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
根治できる治療法はありません。しかし、めまい発作を予防するために利尿薬などの薬物を服用します。また、ストレスがめまい発作を引き起こしやすくしている場合は、日常生活の環境を改善してストレスを軽減することも有効とされています。これらの保存的な治療でめまい発作が制御できない場合は、中耳加圧治療や手術を行います。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
めまい発作の後、初期には軽いふらつきにまで回復しますが、めまい発作を繰り返すと持続するふらつきが残ります。さらにめまい発作を繰り返して後遺症期になると、めまい発作は止まりますが高度で持続するふらつきが持続し、日常生活に大きな支障が生じます。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
過労や介護などの問題によりストレスを抱えている場合や、睡眠不足や不規則な生活を送っている場合には、めまい発作が起こりやすくなります。生活環境を改善し、ストレスの軽減を図ることが大切です。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
該当する病名はありません。
11. この病気に関する資料・関連リンク
日本めまい平衡医学会ホームページ「診療ガイドライン等」
https://www.memai.jp/
研究班名 | 難治性聴覚障害に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年11月(名簿更新:令和6年6月) |