乳児発症STING関連血管炎(指定難病345)

にゅうじはっしょうすてぃんぐかんれんけっかんえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「乳児発症STING関連血管炎」とはどのような病気ですか?

STING1の遺伝子変異が原因で発症する稀な自己炎症性疾患です。 Ⅰ型インターフェロン の分泌を制御できず、過剰な免疫反応が引き起こされるため、様々な臓器で炎症が惹起されます。この病気は、乳児期に発症することが多く、主に血管、肺、皮膚などに炎症が生じて症状が現れます。
皮膚では、手足や顔に 紅斑紫斑 がみられ、 潰瘍びらん を伴うこともあります。血管の炎症(血管炎)は様々な組織や臓器で起こり、それらの働きが低下します。肺で炎症が起こると 間質性肺疾患 を発症して咳や息切れ、さらに重症化すると肺の機能が著しく低下することがあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

稀な病気であり、発症頻度は詳しくわかっていませんが、国内では10人未満とみられています。

3. この病気はどのような人に多いのですか?

世界的に報告されているため、人種や地域による偏りはないと考えられています。

4. この病気の原因はわかっているのですか?

STING1の遺伝子変異を持っている方がこの病気を発症することが多いです。

5. この病気は遺伝するのですか?

常染色体顕性遺伝の遺伝形式で遺伝しますが、多くは突然変異によるもので、家族歴がなくても発症することがあります。ただ、変異した遺伝子をもつ親では、子供へ遺伝することもあります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか?

間質性肺疾患は約85%の方が発症し、肺線維症や肺気腫を合併することもあります。息切れや乾いた咳、呼吸がし難くなるなどの症状が現れます。皮疹は約80%でみられ、手足の指先の紅斑や紫斑、潰瘍、爪欠損を伴うことがあります。また、耳や鼻、頬部など顔面にもみられやすいです。発熱について、微熱を繰り返すことが多いですが、高熱を伴うこともあります。そのほか、関節炎、感染症、自己免疫性甲状腺炎、腎炎、筋炎、肝炎、胆管炎などが知られています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか?

Ⅰ型インターフェロンが過剰に分泌されるために炎症が遷延することが原因と考えられています。Ⅰ型インターフェロンの作用を弱める治療が有効と推測されますが、現在、この病気の治療薬として承認された医薬品はありません。副腎皮質ステロイドや免疫調節薬、JAK阻害薬など炎症を抑える治療が行われます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか?

炎症を抑える治療が奏功すると症状は軽快するため、生活の質が改善します。しかし、間質性肺疾患が徐々に悪化すると、うまく呼吸ができなくなり酸素吸入などの治療が必要になります。肺の合併症が悪化する場合には、予後は不良です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

症状の現れ方は様々なので、それぞれの症状の変化に注意することが大切です。また、治療では免疫を抑える作用をもつ薬剤(副腎皮質ステロイド、免疫調節薬、JAK阻害薬など)が使用されるため、感染症にかかりやすくなる可能性があります。そのような時には、早めに主治医へ相談するようにしましょう。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

・遺伝性自己炎症性疾患
・Ⅰ型インターフェロノパチー
(常にⅠ型インターフェロンが作り続けられるために、不必要に炎症が起こる病気の一群)

11. この病気に関する資料・関連リンク

・自己炎症性疾患友の会  http://autoinflammatory-family.org/

 

情報提供者
研究班名 自己炎症性疾患とその類縁疾患における、移行期医療を含めた診療体制整備、患者登録推進、全国疫学調査に基づく診療ガイドライン構築に関する研究班
研究班名簿
情報更新日 令和7年4月(名簿更新:令和6年6月)