脊髄性筋萎縮症(指定難病3)

せきずいせいきんいしゅくしょう
 

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筋萎縮性側索硬化症(ALS)とはどこが違うのですか?

SMAもALSも同じ運動ニューロンの変性を主体とする疾患であり、運動ニューロン病の範疇に入る病気です。SMAは脊髄前角細胞の変性によって、末梢神経と骨格筋が変性萎縮する下位運動ニューロン病ですが、ALSは下位運動ニューロンだけでなく、上位運動ニューロンの障害も併せて示します。腱反射が亢進(過度に反射)したり、病的反射が出たり、四肢が固くなったり(痙縮)します。

脳神経内科で脊髄性進行性筋萎縮症と診断されましたが‥‥‥

成人を対象とする脳神経内科では脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)という診断が行われることがありました。広義のSPMAとして、小児期発症の脊髄性筋萎縮症(SMA)と成人発症の脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)を総称してSPMAとしておりました。しかしながら、海外の成書や論文では、「広義のSPMA」という表現は使用されておらず、「広義のSMA」として表わされています。そこで、国際的な表現に統一を図るためにSPMAとは言わず、SMAと呼ぶことになりました。従って、成人発症のSMAはIV型となります。

遺伝子診断はどのようにするのですか?

遺伝子診断は血液中のリンパ球の核に含まれるDNAを用いて行いますので、採血による血液検査です。SMAの原因遺伝子であるSMN遺伝子検査は平成20年から健康保険に収載されましたので、保険診療として行われます。遺伝子検査を受ける場合には、遺伝カウンセリングが必要です。

SMAにおけるリハビリテーションはどのようなことをするのですか?

SMAのI型で人工呼吸管理を受けている子どもたちは、動きが少ないので関節拘縮の予防の理学療法が必要です。II型では座位の保持が可能ですが、次第に側弯や関節拘縮が目立ってくるために、座位保持装置やコルセットを用います。II型の側弯に対して、手術的治療として脊柱固定術が行われるようになってきました。III型やIV型においては、起立や歩行が困難になった場合に、リハビリテーションによる拘縮の予防が必要です。呼吸器感染時には、カフアシストの使用や、肺の理学的療法によって排痰ドレナージを行うことも有効です。
HAL医療用下肢タイプは本疾患における治験結果(https://doi.org/10.1186/s13023-021-01928-9)に基づき、2015年医療機器承認され、2016年から「歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)」として保険適用されています。現在は導入された医療機関での使用に限られていますが、歩行機能を改善する効果が得られています。

私たちの赤ちゃんが新生児スクリーニング検査の結果、「陽性」と言われました。どうすればよいのでしょうか?

新生児スクリーニング検査は確定診断ではありません。確定診断の遺伝子検査をお受けになる必要があります。SMAは筋肉の力が低下していく進行性の病気です。赤ちゃんが今は元気そうでも、成長するにつれて症状が出てきます。そのため、1日でも早く専門病院で確定診断の検査を受けてください。真の「陽性」であった場合、特に、I型やⅡ型になる可能性があるという報告を受けた場合には、症状がなくても、一刻も早く治療を始めることが重要です。早期治療は、発病を抑えたり、症状を軽くする効果があります。専門病院では、赤ちゃんの治療を行い、専門スタッフが、これからの事を一緒に考え、赤ちゃんとご両親をサポートします。赤ちゃんに症状がなくても、遺伝子検査でSMAという診断を受けた場合には、小児慢性特定疾病または指定難病の申請をすると、医療費助成を受けることができます。

 

情報提供者
研究班名 神経変性疾患領域における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和6年6月)