皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50)
ひふきんえん/たはつせいきんえん
- 高用量ステロイドが有効であれば、1-2週間でCK値が下がり始めます。筋力回復もひと月目くらいから認められはじめます。3-4週のステロイド治療の結果、ステロイド薬単独での治療が困難と判断したら、免疫抑制薬を併用します。ステロイドの副作用が出るとすれば、開始後1週間位経って、不眠や多幸感・抑うつ感などの精神変調や空腹感などの症状が現れます。その後、ステロイド糖尿病、脂質異常症などが現れることがあります。ひと月も経つと、免疫力低下による感染症、満月様顔貌、ステロイド筋症なども現れてくることがあります。免疫抑制薬併用にもかかわらず、2ヶ月以上CK高値が続くのは治療反応性の悪い筋炎です。治療が奏効しても、約半数の方しか筋力低下の完全回復が達成できないようです。また、皮膚症状はステロイド減量とともに再現することも多く、このような場合には塗り薬などで対処するのが一般的です。
よくみられる治療開始後の経過はどのようなものですか。
- CK値が正常でも、アルドラーゼなど他の検査値が異常の患者さんもいらっしゃいます。その場合、筋炎は落ち着いていないと考えられます。中等用量(プレドニゾロン換算で体重1kg当たりおよそ0.5mg/日以上)のステロイドを長期服用している患者さんでは、ステロイド筋症による可能性があります。
しかし、MRIを含む検査データが正常で、ステロイドも5mg/日以下にもかかわらず、筋力が回復しきらない患者さんが多いのも事実です。現在は、リハビリによる筋力トレーニングしか対策がありません。
CK値が正常範囲になっても筋力が回復しません。なぜでしょうか。
- 発病後も2-3年間は、発病時ほどではありませんが、癌などの悪性腫瘍が見つかりやすいと言われています。一方で、起きやすい癌の種類は一般の方々と変わりません。したがって、主治医と相談しながら、一般的な癌検診をきちんと受けるように努めましょう。
この病気では癌が合併しやすいと聞きました。発病時には癌の検査をしましたが、退院後はどうしたらいいでしょうか。
- ステロイドは長期間使用すると、さまざまな副作用があります。ステロイド減量を助けるのが免疫抑制薬です。現在、アザチオプリンとシクロホスファミドが保険適用になっています。保険適用外の薬剤では、メトトレキサートやタクロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチルが使われています。これらの薬を併用することで、ステロイドを減らすことが出来る場合が多くあります。患者さんにもよりますが、最終的にはステロイドを中止して、免疫抑制薬のみにすることも可能です。
稀に、中等用量(プレドニゾロン換算で体重1kg当たりおよそ0.5mg)以上を朝一回で服用している患者さんがいらっしゃいます。この場合、1日3回にほぼ均等に分けるだけでも効果が良く出て、減量が可能になることがあります。
ステロイドが減らせません。どのような対策があるでしょうか。
- 大腿骨頭壊死は、ステロイド高用量の際の副作用です。しかし、骨頭が壊死した時は症状がなく、その後の減量後に骨頭が潰れ、初めて症状が出ることもあります。他の副作用も含め、その予防には、ステロイドは必要量を最低限使うことが必要で、専門医の判断が重要です。
ステロイド少量でも大腿骨頭壊死はおきますか。
- ステロイド維持量で病気の活動性がおちついていて、他に問題となるような合併症がなければ可能です。妊娠に関して免疫抑制薬は比較的安全なものから危険なものまでありますので、主治医とご相談下さい。
手術は、癌手術の場合、病気の活動性が落ち着きかけたら、ステロイド維持量まで減量する前に行うことがあります。癌治療優先だからです。小さな手術などで、待てる場合は、手術後感染症の危険を減らすために、維持量になってからが望ましいです。
妊娠・出産・手術はできますか。
- 食事は、バランス良くとることを心がけます。ただしステロイド服用中は副作用で食欲増進することがありますので、食べ過ぎにも注意します。
日光、特に紫外線は皮膚症状を悪化させる原因となります。生活に支障のない範囲で遮光に心がけましょう。
風邪などの感染症は、間質性肺炎を悪化させる原因にもなります。インフルエンザ予防接種なども積極的に受けて下さい。
食事や日光、風邪予防などへの注意はありますか。
- 一般的には、問題ありません。
温泉、プール、マッサージ、針灸は良いですか。
- 2014年1月に施行された難病法に基づき厚生労働省が作成した認定基準では、無筋症性皮膚筋炎患者さんも診断基準と重症度分類を満たせば認定されるようになりました。
筋症状のない皮膚筋炎で、間質性肺炎を合併して治療を受けています。指定難病の医療費助成は認められないと聞きましたが本当でしょうか。
治験情報の検索
(公財)難病医学研究財団
(公財)難病医学研究財団
- 活動性を有する特発性炎症性筋疾患患者を対象としてnipocalimabの有効性及び安全性を評価する多施設共同,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,並行群間比較第2相試験
- 活動性特発性炎症性筋疾患(活動性皮膚筋炎または多発性筋炎を含む)患者を対象に,PF-06823859 の有効性および安全性を評価する第3相,多施設共同,二重盲検,無作為化,プラセボ対照試験
- 中等症から重症の特発性炎症性筋疾患(多発性筋炎及び皮膚筋炎)の成人被験者を対象に標準治療に上乗せしてアニフロルマブを皮下投与したときの有効性及び安全性をプラセボと比較検討する第III相、多施設共同、並行群間、二重盲検、2群試験
研究班名 | 自己免疫疾患に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和5年12月(名簿更新:令和6年6月) |