コステロ症候群(指定難病104)

コステロしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「コステロ症候群」とはどのような病気ですか

先天的なHRAS遺伝子の変異によって、成長・発達の遅れ、特徴的な顔貌、緩い皮膚、巻き毛、乳頭腫、肥大型心筋症などが見られる疾患です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

国内外を問わず、実態はまだ不明なところが多いです。国内では100人位ではないかと推定されます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

先天性 の病気ですので小児期に気づかれますが、成人でもみられます。性差はありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

先天的なHRASの遺伝子の変異が原因と考えられています。しかしながら、従来がん遺伝子として知られてきたHRASの変異がなぜ発達異常など種々の症状をきたすかについてはわかっていません。現在は遺伝学的検査が保険収載されています。遺伝学的検査を受ける際には、医療機関受診と遺伝カウンセリングが必要です。

5. この病気は遺伝するのですか

お子さんがコステロ症候群である場合には、その弟妹がコステロ症候群として産まれてくることは稀です。将来、患者さんの子供がおなじくコステロ症候群である確率は50%です。遺伝について、ご不安な点がある場合、臨床遺伝専門医などの遺伝カウンセリングを受けられることをお勧めいたします。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

成長・発達の遅れ、特徴的な顔貌、緩い皮膚、巻き毛、乳頭腫、肥大型心筋症、先天性心疾患などが見られます。約10%の患者さんに横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、膀胱がんなどの悪性腫瘍を合併します。2歳くらいまでは過敏性や人見知りが強いですが、成長するにつれて明るく社交的な性格になることが知られています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

根本的な治療法は知られていません。患者さん1人1人で症状の組み合わせや強さは違いますので、症状に対する対症療法がおこなわれます。心疾患や悪性腫瘍の早期発見と早期治療が、その後の症状の改善に有効です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

成長障害・発達遅滞や肥大型心筋症、骨格異常、悪性腫瘍の合併の可能性があり、長期にわたって通院や治療が必要な可能性があります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

特に乳児期には哺乳障害が強いためチューブでの栄養が必要になりますが、2歳頃までには軽快することが知られています。過敏性が強いことが哺乳障害の原因とも考えられています。栄養・成長・発達、視覚、聴覚、心臓、骨格の診察、腫瘍のスクリーニングなどを定期的に病院で受け、必要な治療を受けていくことが重要です。発達の遅れに対しては療育が重要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

 

情報提供者
研究班名 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班
研究班名簿 
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和6年6月)