脊髄空洞症(指定難病117)
せきずいくうどうしょう
- 脊髄の腫瘍、炎症、血管障害などもありますが、最も多いのは椎間板や背骨とそれを取り巻く靱帯の異常による病気です。
脊髄空洞症と似た症状はどの様な病気でみられますか?
- 脳神経内科、脳神経外科、整形外科で診察を受けてください。小児科で診療している施設もあります。
この病気の診察にはどの診療科を受診するのがよいですか?
- 磁気共鳴画像(MRI)検査がまず行われ、早期発見、診断ができるようになっています。体内に金属片やペースメーカーなどを装着しているなどの理由でMRI検査できない場合には、X線CTと水溶性造影剤を用いて空洞を検査する方法があります。
この病気の診断のためにはどのような臨床検査が行われますか?
- 原因はいろいろあります。例えば発達の過程で形成された局所的中心管の拡大と推定されるものがあります。さらに、血管障害や脱髄疾患などにより脊髄実質が何らかの病変で破壊されて、その後が空洞として残る場合などもあります。主治医の先生にご相談ください。
たまたま頸髄MRIを施行した際に、偶然、下部頸髄の中央に空洞のように見える病変が指摘されました。現在、感覚障害などもなく、脊髄腫瘍や脊椎の奇形などを指摘されたこともありません。脊髄空洞症以外で、このような病変が認められることがありますか?
- 何らかのきっかけで、大きな空洞が破れてくも膜下腔と繋がりますと、空洞が小さくなる場合があります。結果として空洞・くも膜下腔短絡術と同じ事が起こったことになります。さらに、子供では、発育に伴って空洞症が緩解する例のあることが知られています。これは、頭蓋骨などが発達して髄液の流れが改善されたことによると推測されています。ただし、いつもこのようなことが起きると期待することも予測することもできません。
脊髄空洞症の進行が停止する場合がまれにあると聞きました。どうして停止したのでしょうか?
- 進行停止をきたす例では、空洞が破れるなど何らかの要因で髄液が貯まって空洞形成する原因が除かれた、あるいは髄液の流れが改善するような事態の生じたことが考えられます。進行の停止と原因疾患の関係には明確なものはありません。
脊髄空洞症では進行を認めない場合があるとのことですが、原因疾患がどのような場合に進行を認めないのでしょうか?
- 咳やくしゃみにより、ビリッとする痛みが誘発されることがあります。これは脳脊髄液の圧が急に高くなったことによるものです。空洞が広がる誘因となることも考えられますので、痛みの誘発される方は、このような動作を避けるようにしたいものです。手足で、特に痛みや熱さの感覚が鈍い場合には、外傷や火傷を受けやすいので注意しましょう。
日常生活で、どんなことに注意したらよいでしょうか?
- しびれや痛みには薬物療法など、手足が痩せて力が入らないなどの機能障害には理学療法や補助器具などを工夫します。
手術の他に、どんな治療法がありますか?
- 症状が進行している場合には、それ以上悪くならないように治療する事が大切です。早期に治療すると、後遺障害を少なくすることができます。治療が遅れると機能障害の回復にも時間がかかりますし、不完全な回復は後遺障害を残すことになります。
外科治療はいつ、必要になりますか?
- 空洞は小さくなり脊髄の腫れも改善します。さらに症状の進行も止まります。
手術がうまくいくと空洞はどの様になるのでしょうか?
- 空洞ができるもとになった髄液の循環障害が回復している場合には、再発の可能性は少ないと考えられます。
手術を受けましたが、再発することはありますか?
- これらの症状は脊髄の上の部分にできた空洞が更に上の延髄にまで広がっていることを示しています。延髄には、顔の感覚、眼球の動き、顔の表情・舌・喉の動きを司る神経細胞の集まり(“神経核”)や神経線維の連絡網があります。空洞が延髄まで拡大すると、話したり飲み込んだりする機能も障害されることがあります。
どうして眼、顔、舌などに異常がでるのですか?
- 延髄の空洞症あるいはキアリ奇形により飲み込みの悪い方は、飲み込みやすい食品(水気のあり、滑らかな食品、とろみ食など)を選択し、水分、栄養補給に注意をする必要があります。