サルコイドーシス(指定難病84)
さるこいどーしす
- 一口に心臓サルコイドーシスといっても、実際には、軽症から重症まで、また、不整脈を主体とするものから心不全を主な病態とする場合まで、極めて多様性の高いのがこの疾患の特徴のひとつです。従って治療内容も、お薬による治療から、ペースメーカーなどの非薬物(デバイス)療法まで、各々の病態にあったいわゆる「テーラーメイド」の治療になります。
日常生活においても、注意するべき点は各々の患者さんによって、ほとんど普通にされて良い方から、心不全が悪くならないように一定の活動制限が必要な方、またペースメーカーなどデバイス植込み後の注意が必要な方まで、軽重があると思われます。主治医の先生と相談しながら、適切な治療を続けることで、生活の質(quality of life: QOL)を保って通常の生活を送ることが大切です。
心臓サルコイドーシスと診断されました。日常生活ではどのようなことに気をつけたらよいでしょうか。
- 心臓サルコイドーシスも、全身サルコイドーシスと同様に、組織の炎症が自然寛解することは想定されます。
ただし、組織の炎症が治癒する過程において、通常「線維化」がおこります。従って、一度低下した(障害された)心臓の機能が、完全にもとに戻ることは少ないのが現状です。また、不整脈が持続することや、新たに出現することもあります。
ですので、「悪くなるか、今のままを維持の二つでしょうか?」は、病因論(病理)的にはある意味正しいと思われます。もちろん適切な治療を開始することによって、臨床的に心臓の機能を改善することや、不整脈を予防することができます。
サルコイドーシスは自然治癒することがあると聞きましたが、心臓サルコイドーシスは治癒することはないのでしょうか? 悪くなるか、今のままを維持の二つでしょうか?
- 海外と日本での考え方にはやや違いがあります。海外では、PET検査が陰性になったら一度中止してみるという報告もあります。
日本では、ステロイドを中止すると、再発することが稀ならず経験されてきましたので、副作用や合併症などが障壁にならない場合には、少量の維持量を長期間継続していただいていることが多いのが現状と思われます。
心臓サルコイドーシスと診断されました。プレドニンは一生飲み続ける必要がありますか?
- 現在はペースメーカーや植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator: ICD)の埋込みをされていないということですね。回答としては、今後必要が生じれば、これらの植込みを行うということになります。お薬による治療を継続しても、重篤な(生命に係わる)不整脈がおこったり、ハイリスク(失神や高度心機能低下など)と考えられるようになった場合には、これらの植込みが勧められます。また、心機能低下が極めて重症になった場合には、心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy: CRT)の目的で、専用のペースメーカーを植え込むこともあります。
心臓サルコイドーシスと診断されました。今後、ペースメーカーや植込み型除細動器の埋込みをする必要はありますか。
- ステロイド治療により房室伝導の回復はある程度期待できますが、ステロイド開始前に房室ブロックの改善は予測できないこと、心臓サルコイドーシスは進行性の場合もあるため再発が起こりうることを考慮すると恒久ペースメーカー治療が望ましいと思われます。また、ステロイド内服下のデバイス治療では感染リスクの上昇が懸念されることを考慮すると、原則としてペースメーカーなどのデバイス植込み後にステロイド治療を開始することが望ましいと考えられます。
高度房室ブロック症例に対するステロイド治療とペースメーカー適応の優劣と治療の順番について教えて下さい。
- 心臓サルコイドーシスの末期心不全においては、心臓移植および補助人工心臓も考慮されますが、全身性炎症性疾患である病態の性質上、その適応については十分に検討、評価される必要があります。
心臓サルコイドーシスの患者に心臓移植はできますか。
研究班名 | びまん性肺疾患に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和6年11月(名簿更新:令和6年6月) |