ファンコニ貧血(指定難病285)
ふぁんこにひんけつ
- 造血細胞移植のドナーになるためには、HLAという白血球の型が適合する必要があり、両親はHLAが適合すればドナーになれますが、同胞の場合はそれに加えて未発症のファンコニ貧血でないことを確認する必要があります。両親はほとんどがファンコニ貧血の保因者であり、兄弟姉妹は1/2の確率で保因者、1/4の確率でファンコニ貧血の可能性があります。保因者はファンコニ貧血を発症しないのでHLAが適合すればドナーになれますが、ファンコニ貧血でないことを確認するために染色体脆弱性試験や遺伝学的な評価が必要です。
こどもがファンコニ貧血と診断されました。両親、同胞は造血細胞移植のドナーになれますか。
- 造血細胞移植でドナー細胞と入れ替わるのは骨髄中の造血細胞です。造血細胞の悪性腫瘍である骨髄異形成症候群や白血病になる確率は著しく低下しますが、骨髄以外の粘膜や消化管などの臓器はファンコニ貧血の遺伝子の変異をもっているため発がんのリスクは低下せず、移植の有無に関わらずがんに対する注意は必要です。
造血細胞移植が成功してもがんは発症しやすいのでしょうか。
- この病気の保因者の頻度は日本では200〜300人に1人と推定されていますが、保因者はファンコニ貧血を発症しないため、通常はご自分が保因者であると気づかずに生活しています。実際に検査しても遺伝子変異が特定できるとは限らず、血液検査で100%判明するわけではありません。
頻度は低いですが、以下の場合には子供の発症リスクや保因者の発がんリスクの点から、保因者診断を行う意義があります。ファンコニ貧血の22個の原因遺伝子の中で、FANCBの遺伝子変異では原因となる遺伝子がX染色体上に存在し、母親が保因者と推定されます。女性保因者は健常なX染色体と病因遺伝子のあるX染色体の2つを持ち、どちらか一方が子供に受け継がれるため、1/2の確率で男児の場合は発症し、女児の場合は保因者となります。また、22個の遺伝子のうちFANCD1,FANCJ,FANCN,FANCSは家族性乳がん遺伝子と同じであることが判明しており、子供がこれらの遺伝子変異によって発症している場合、保因者である両親は乳がんや卵巣がんその他の固形がん発症リスクが高い可能性があります。
このような場合は遺伝子カウンセリングを含めて、本症について詳しい医師に相談されることをお勧めします。
家族は保因者の検査(ファンコニ貧血の遺伝子検査)を受けた方がよいのでしょうか。
研究班名 | 遺伝性骨髄不全症の登録システムの構築と診断基準・重症度分類・診断ガイドラインの確立に関する研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和4年12月(名簿更新:令和6年6月) |