混合性結合組織病(指定難病52)

こんごうせいけつごうそしきびょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

混合性結合組織病(MCTD)の症状や重症度は患者さんそれぞれによって異なるので、主治医の先生とよく相談することが大切です。ここでは一般的な注意点を挙げておきます。

■日常生活における注意

(1)疾患をよく理解する

a. 慢性疾患であるため、長期間の診療を必要とすること
b. 病変は多彩で、個々の患者で病変の分布、重症度は多様であること
c. 予後は比較的良好であること
d. 肺動脈性肺高血圧症の有無を確認するための検査(心臓超音波検査など)が必要であること
e. 根本的な治療法はないこと
f. グルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)をはじめ、対症療法薬を正しく使えば疾患のコントロールは可能であること
 

(2)家事・就業に対する注意

有熱時や急性増悪時、内臓病変の進行した場合を除いて、特別な労働の制限はありません。しかし過労を避け、休養をとることは重要です。そのために家族の理解と協力を得ることも大切でしょう。
 

(3)寒冷に対する注意

a. 寒さのきびしい時には外出を避け、外出時には手袋を使用する
b. 居室、寝室の保温に注意する
c. 長時間の水仕事は避け、温水を使う
d. 保湿剤入りのハンドクリームを常用して、常に皮膚の保温と指先の外傷予防に注意する
 

(4)直射日光に対する注意

a. 日光過敏症の既往がある場合は特に、長袖、帽子、パラソルなどを使用してなるべく直射日光を避ける
b. 紫外線カット効果の高い日焼け止めクリームを使用する
 

(5)食物や嗜好品に対する注意

食道機能異常、腸管機能異常を伴う場合には、よく噛んで落ち着いて食事をし、食事のあとすぐに横にならないよう注意する。便秘にならないように注意する。たばこは血流を悪くするため絶対にやめてください。少量のアルコールは構いません。  

(6)副腎皮質ステロイド療法における注意

医師から指定された薬の用量は勝手に調節しない。副腎皮質ステロイド療法のメリット(有効性)とデメリット(副作用)を知っておきましょう。なお、欧米では副腎皮質ステロイドについては、免疫抑制薬などを用いながら一定期間の少量維持療法の後に中止します。軽症では副腎皮質ステロイドを使用しないこともあります。患者さんにより異なりますので、主治医によくご相談ください。  

(7)妊娠に関する注意

a. MCTDの場合は、肺動脈性肺高血圧症など重篤な内臓病変がない限り妊娠は可能
b. 妊娠中および分娩後の数ヶ月間は注意深く経過観察し、分娩直後は家族の協力により過労を避ける
c. 腎臓の病気がある場合には、妊娠による増悪に注意する
d. 副腎皮質ステロイドによる維持療法をおこなっている場合には、胎児への影響の少ないプレドニゾロンやメチルプレドニゾロンを使用し、デキサメタゾンやベタメタゾンは極力避ける
e. 妊娠に関して大切な自己抗体である抗リン脂質抗体や抗SS-A/SS-B抗体の検査をできれば妊娠する前に主治医にお願いしましょう  

 

情報提供者
研究班名 自己免疫疾患に関する調査研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和5年12月(名簿更新:令和6年6月)