早期ミオクロニー脳症(指定難病147)

そうきみおくろにーのうしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

生まれて1ヵ月以内の赤ちゃんがピクピクしていたらこの病気なのでしょうか?

そうではありません。
新生児~1ヵ月の赤ちゃんがぴくぴくする場合、病的ではないものとしてジタリネス(手足の細かい震え)、入眠時(または睡眠時)ミオクローヌス、病的なものとしててんかん、非てんかん性のけいれんなどがあります。
発育発達が順調であれば、病的でない可能性が大です。ジタリネスは、新生児期や乳児早期によく認められる手足のカタカタあるいはワナワナとした震えです。少々神経が過敏になっているときに起こるものです。手足をじっとさせていると止まります。入眠時(または睡眠時)ミオクローヌスは、眠り際や浅い眠りのときに手足をピクピクさせる動きです。長くは続かず、眠りが深まると消えます。
非てんかん性のけいれんの原因としては低血糖、低カルシウム血症、低ナトリウム血症、髄膜炎、脳炎、頭蓋内出血などが考えられます。てんかん性のけいれんとしては、この時期では脳形成異常などが原因の焦点てんかんや、この病気(早期ミオクロニー脳症)、大田原症候群(この病気とともに、早期乳児発達性てんかん性脳症とも呼ばれることもあります)、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかんがあります。
医師に相談していただき、必要ならば脳波検査を受け、この疾患の脳波の特徴のサプレッション・バーストという形でなければ、この病気ではないと考えられます。

原因は何でしょうか?

先天代謝異常症、脳形成異常、遺伝子変異が原因となり得ますが、わからないこともあります。
欧米では生まれつき体の中で必要なものが作られない先天代謝異常症が多いとされていますが、わが国では先天代謝異常症は少なく、脳形成異常など、脳の形態異常が少なくありません。最近では、原因となる遺伝子の変異が報告されてきています。

遺伝するのでしょうか?

兄弟発症例などの家族内発症例が報告されています。この病気はいろいろな原因で発症するため、遺伝する可能性は原因によって異なりますから、主治医によく相談するとよいでしょう。

いろいろな治療を受けていますが、発作が止まりません。どうしたらよいでしょうか?

抗てんかん薬をはじめとする治療が効きにくいと言われています。先天代謝異常症が原因の場合は、それを治療するとよいとされています。その他、通常の抗てんかん薬、ACTH、ケトン食、免疫グロブリンの点滴など様々な治療が試みられていますが、効果は乏しいと言われています。いろいろな抗てんかん薬を内服することになるので、主治医の先生とともに、効果と副作用のバランスを考えて治療を考えていく必要があります。

日常生活でどのような注意をしたらよろしいでしょうか?

基礎疾患、合併症への対応が重要です。
てんかん以外に、重度の運動障害、知的障害が生じて、寝たきり状態になったり、口からの食事が困難になり、経管栄養が必要となることもあります。経管栄養の場合は微量元素の不足など栄養の偏りが起きることがあるので、そのチェックと補充が必要です。また、呼吸障害や肺炎などが起きることがありますので、その場合には早期治療が必要です。

 

情報提供者
研究班名 稀少てんかんの診療指針と包括医療の研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和6年6月)