片側巨脳症(指定難病136)

へんそくきょのうしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「片側巨脳症」とはどのような病気ですか

片側巨脳症は、先天的に片側の大脳半球が通常よりも大きく形成され、構造の異常も伴う病気で、てんかん発作、発達の遅れ、巨脳側の反対の手足の麻痺などの症状を特徴とします。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

稀な病気のため正確な患者さんの数はわかりません。全国で数十人〜数百人程度と予想されます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

生まれた直後にてんかん発作でみつかる場合が多いです。また結節性硬化症、伊藤白斑などの 神経皮膚症候群 がある人に多いといわれていますが、特に他の病気を持たない場合にも起こります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

この病気は片側の脳が大きく形成されるために起こりますが、その原因はよくわかっていません。最近では、一部の患者さんが、脳ができる過程で、一部の細胞にmTOR系と言われる細胞の成長や増殖に関係するシグナル伝達系の遺伝子の変異が起きるため(体細胞変異)、発症することがわかっています。

5. この病気は遺伝するのですか

同じ家族内でこの病気があった例は、一卵性双生児を除きほとんど知られていません。基本的に遺伝はしないとされています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

てんかん発作、発達の遅れ、及び不全片麻痺などの症状が特徴です。しばしば発作が頻発し脳全体に拡がった脳波異常が続くてんかん性脳症という状態になります。その場合は発達の遅れが顕著になります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

てんかん発作に対しては、様々な抗てんかん薬で治療します。また抗てんかん薬で発作が治まらない場合には、外科治療(半球離断術など)が行われます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

発作が止まらない場合は発達が遅れたり、停滞しますが、外科治療などで発作を止めることで発達の改善を期待することもできます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

てんかん発作や発達の遅れへの対応、及び手足の運動障害への対応が必要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

結節性硬化症、伊藤白斑、神経皮膚症候群

11. この病気に関する資料・関連リンク

佐々木征行:片側巨脳症、(大槻泰介他、編)稀少難治てんかん診療マニュアルー疾患の特徴と診断のポイント、診断と治療社、2013、pp62-64
 
佐々木征行、他:アンケートによる片側巨脳症全国調査、脳と発達、32巻3号:255-260、2000
 
齋藤貴志.片側巨脳症.てんかん症候群 診断と治療の手引き.日本てんかん学会(編).メディカルレビュー社,2023;160-163.

 

情報提供者
研究班名 稀少てんかんの診療指針と包括医療の研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和6年6月)