総動脈幹遺残症(指定難病207)

そうどうみゃくかんいざんしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

日常生活で気をつけることはありますか?

総動脈幹遺残の術後には、大動脈弁閉鎖不全や右室-肺脈間の心外導管機能不全が見られることが多く、ほとんどの症例で病態に応じた運動制限が必要です。自分のペースを守って、息切れなどの症状が出る前に休むことも必要です。いずれにせよ競争するような運動は避けるのが原則です。

うちの娘は将来、妊娠出産できるのでしょうか?

成人後の経過も個人によって異なりますが、遺残症や続発症が軽度な場合には、専門医の管理のもとに妊娠出産は可能なことがあります。右室流出路狭窄や肺動脈閉鎖不全のために右室拡大を生じている場合などには、妊娠中の管理が必要となります。出産後の産褥期や育児における心不全増悪についても大切です。アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシン受容体拮抗薬などの内服薬についても相談する必要があります。同時に感染性心内膜炎の予防が必要です。人工弁置換術を受けられてワルファリンを内服している場合には容易ではないので、妊娠前から人生設計も含めてよく相談する必要があります。

寿命は普通より短いのでしょうか?

術後の経過がよければ、比較的良好な生命予後を得ることができますが、重い心不全や難治性の不整脈があれば、健常人と同じ寿命を全うすることは難しくなります。定期健診によって経過観察を受けながら病気とうまく付き合っていきましょう。

 

関連ホームページのご紹介

① 小児・成育循環器学. 日本小児循環器学会編集. 診断と治療社, 2018.
② 日本成人先天性心疾患学会ホームページ総合・連携認定施設一覧
https://www.jsachd.org/specialist/list-facility/
③ 心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2018年改訂版)日本循環器学会.
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/06/JCS2018_akagi_ikeda.pdf

 

情報提供者
研究班名 先天性心疾患を主体とする小児期発症の心血管難治性疾患の救命率の向上、円滑な移行医療、成人期以降の予後改善を目指した総合的研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和6年7月)