血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(指定難病64)
けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう
(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)
この病気は遺伝するのですか?
- 先天性TTP(USS)は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)を示します。すなわち、患者の両親は 保因者 ですが無症状です。また、患者の子はおおむね無症状の保因者です。一方、後天性TTPの遺伝性は認められていません。
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新しい治療薬が出てきていると聞いています。
- もともと悪性リンパ腫の治療薬として使われていたリツキシマブが、2020年2月から再発・難治の後天性TTPに対して適応拡大しました。リツキシマブは抗CD20キメラモノクロナール抗体薬で、ADAMTS13インヒビターを産生するBリンパ球を破壊し、抗体産生を抑えるために有効です。また、VWFに対する抗体製剤であるカプラシズマブが2022年12月から日本国内でも使用できるようになりました。血小板とVWFの結合を阻害することで、血栓の形成が抑制されます。それ以外に遺伝子組換えADAMTS13が、日本でも治験が行われています。遺伝子組換えADAMTS13が先天性TTP(USS)に対して使用できるようになることが期待されています。
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TTPは血小板が減少する病気なのにどうして血小板輸血をしてはいけない(禁忌)のでしょうか?
- TTPでは特殊な酵素(ADAMTS13)の活性が著減するために、この酵素によって分解されるべきVWFという止血因子の分子サイズが超巨大となり、血小板が非常に凝集しやすい状態となっています。この状況で、血小板輸血をすると、まさに「火に油」で、血小板血栓を助長し症状は悪化します。従って、TTPの患者で血小板輸血がどうしても必要と判断される場合には、血漿交換後に行うのが良いとされています。
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先天性TTP(USS)の患者の治療方法は、血漿輸注以外に抗血小板薬で代用することはできないのでしょうか?
- 現在日本における治療方法は、血漿輸注におけるADAMTS13酵素補充方法しかありませんが、近い将来遺伝子組み換えADAMTS13による酵素のみの補充療法が期待できると思います。ちなみに、抗血小板薬は血小板の活性化を抑えるものが主であって、血小板同士の凝集に「糊」の役目をする巨大VWFを切断する酵素(ADAMTS13)の無いUSS患者を、これらの抗血小板薬のみで治療することは困難と考えられます。
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後天性TTPで血漿交換ではなく、血漿輸注で治療することはダメなのでしょうか?
- 後天性TTPでは、ADAMTS13に対する自己抗体が産生されているため、ADAMTS13を補充するのみではなく、自己抗体を除去する必要があります。1991年に発表されたカナダの前向き比較試験で、血漿輸注より血漿交換の方が有意に生存率が高いことが報告されていいます。
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