修正大血管転位症(指定難病208)

しゅうせいだいけっかんてんいしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

小児期は無症状で運動制限なく過ごしました。修正大血管転位症で他に心血管の異常がないと言われましたが、今後の生活ではどのような点に注意したら良いでしょうか?

長期経過で体心室である右室の機能不全や三尖弁閉鎖不全、房室ブロックなどの出現や進行に注意します。強い運動は避けて、仕事も過労にならないように普段からコントロールしてください。また高血圧・肥満は心臓の負担となるため予防しましょう。女性の妊娠・分娩は心機能が良好な若い時期が望ましいですが、合併症の程度にもよるので主治医とよく相談してください。完全房室ブロックに進行すると、人工ペースメーカーの植え込みが必要となります。

ラステリ手術(心外導管兼心室中隔欠損閉鎖術)の術後の長期経過について教えてください。

ラステリ手術後は、長期的には心外導管内に血栓や石灰化が生じて内腔の狭くなったり、導管内の逆流防止弁が動かなくなって肺動脈閉鎖不全が起こってきます。そのために、心外導管狭窄にたいする再手術率は約3分の1と高く、10~20年ごとに導管形成術を行うことが多いようです。

どんな場合に解剖学的心内修復術(ダブルスイッチ手術)を行うのでしょうか?

施設によって方針が異なります。患者さん自身の心臓にダブルスイッチ手術が可能な様々な条件が揃っている必要がありますが、解剖学的左室は、術前に圧負荷に対するトレーニングを積んでいなければなりません。容積も十分なければなりません。解剖学的な左心室が体心室となるために理想的な手術法ですが、大掛かりな手術のために心臓への負担が大きく、術後遠隔期に心不全、導管の狭窄、難治性不整脈などの続発症が問題となります。

関連ホームページのご紹介

① 小児・成育循環器学. 日本小児循環器学会編集. 診断と治療社, 2018.
② 日本成人先天性心疾患学会ホームページ総合・連携認定施設一覧
https://www.jsachd.org/specialist/list-facility/

 

情報提供者
研究班名 先天性心疾患を主体とする小児期発症の心血管難治性疾患の救命率の向上、円滑な移行医療、成人期以降の予後改善を目指した総合的研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和6年7月)